良盤!ケリー・プライスの新譜

私には、お気に入りのR&Bアーティストがたくさんいますが、
彼らの作品に、毎回毎回満足しているわけではありません。
たまに、首をかしげたくなるようなものも、あります。
しかし、そのようなことがほとんどない、安定したアーティストもいて、
そのうちのひとりが、ケリー・プライス(Kelly Price)です。
彼女の作品を買って、「失敗した!」と悔やむことは、まずありません。
よって、先日発売になった彼女のニューアルバム
“Sing Pray Love Vol1 Sing”も、
あれこれ迷うことなく、ササッと購入した次第です。

前回のアルバム”Kelly”は、じっくり聴き込める、よい作品でした。
それに比べると、今回の”Sing Pray Love Vol1 Sing”は
ダンスナンバーのしめる割合が増えたこともあって、
より聴きやすく、親しみやすい作品になったと思います。

一番の注目曲は、なんといっても、シングルカットされた
“It’s My Time”でしょう。
力強いビートに、つい体が動いてしまう、元気で楽しい曲です。
ケリーの歌も、めいっぱい、ではなく、ほどよい「抜け感」があるので、
聴きやすく、ノリやすいです。
これは、ケリーの代表曲になるでしょうね。

それから、彼女の得意な、じっくり歌い上げるメロウなナンバーも、
毎度のことながら、充実しています。
なかでも、私はThink Again(Shep’s Sermon)という曲が気に入りました。
ケリーの90年代の作品っぽくて、ちょっと懐かしい感じがします。

また、ゲストシンガーとのデュエット曲もよかったですね。
歌のうまい、いいシンガーを迎えています。
ルーベン・スタッダード(Ruben Studdard)との”Back 2 Love”は
粋なダンスナンバーで、アルジェブラ・ブレセット(Algebra Blessett)との
“Conversations With Her”は、なにやら男女関係のストーリーがありそうな
ミディアムナンバーです。

そして、このアルバムの大きな聴きどころが、
チャカ・カーンの”Through the Fire”のカバーです。
この曲は、エリック・ベネイもカバーしていました。
エリックが、独自のアレンジを加えていたのに対し、
ケリーは、ほぼ原曲通りに歌っています。
「チャカに負けないわよ」という自信があったのでしょうね。
実際、ケリーの歌は、チャカに一歩もひけをとらない、
素晴らしいものでした。

なお、彼女のアルバムで定番となっているゴスペルですが、
今回は、オープニングでインタールード的に歌われるに、とどまっています。
私は彼女のゴスペルのファンなので、フルで聴きたかったなあ、と
ちょっと残念でした。次回に期待しましょう。

というわけで、ケリー・プライスのニューアルバム
“Sing Pray Love Vol1 Sing”は、素晴らしい歌を堪能できる好作品です。
皆様に、おすすめいたします。

Kelly Price – It’s My Time