クリスマスの名曲 ダニー・ハサウェイ”This Christmas”
こんにちは。
前回の記事で、ニーヨのニューアルバム『Another Kind of Christmas』をご紹介しました。その1曲目の”This Christmas”を聴いて、改めてこれは名曲だと思ったので、今回はその”This Christmas” に焦点をあててみたいと思います。
“This Christmas”は、1970年にダニー・ハサウェイ(Donny Hathaway)のシングル曲としてリリースされました。そして、翌年の1971年に発売された彼のセカンドアルバム『Donny Hathaway 』に収録され、1972年には、全米チャートで11位を記録するヒットとなりました。ということで、今から50年近く前の曲ということになります。とてもそんな昔の曲とは思えないくらい、今聴いても違和感はなく、身近に感じられる曲です。
メロディーは後半に向かって徐々に盛り上がっていく素直な展開で、サビの部分が感動的な作りになっています。歌詞は、大事な人とともにクリスマスを過ごせることの喜びを表す内容で、曲全体が希望に満ちあふれている感じがします。ダニーは、ゴスペルの影響を受けた独特の節回しで、伸びやかに、かつ優しく包み込むように歌い上げています。ダニーの歌唱の素晴らしさを、この “This Christmas” という曲は、よく引き出していると思います。
“This Christmas” は、これまでにさまざまなR&Bアーティストにカバーされてきました。今回は、最新アルバム『Indigo』も好調なクリス・ブラウンが、2007年に発表したカバーをご紹介しましょう。これは同年にアメリカで公開された映画『This Christmas』(主演はクリス・ブラウン)のサントラ盤に収録されています。クリスにしてはオーソドックスな仕上がりで、いつの時代でも楽しめるクリスマスソングになっています。
“This Christmas” のカバーで忘れられないものといえば、1980年のウィスパーズのアルバム『The Whispers』に収録された、”A Song for Donny”です。これは曲は “This Christmas” なんですが、歌詞が変更されているので、クリスマスソングではありません。クリスマスを祝福する内容から、1979年に亡くなったダニーを追悼する内容に変わっているのです。静かに、せつせつと、ダニーへの愛と感謝が歌い上げられ、聴いていると涙ぐみそうになってきます。こちらも、とても素晴らしい曲です。
ダニー・ハサウェイの “This Christmas” が、これからも歌い継がれていくことを願っています。