発売から20年 キキ・ワイアット『Soul Sista』

こんにちは!
今回は、今年発売20周年を迎える、キキ・ワイアット(Keke Wyatt)のデビューアルバム『Soul Sista』をご紹介します。

キキ・ワイアットは、1982年、インディアナポリスの音楽一家に生まれました。幼少期からゴスペルに親しんで歌唱力を磨き、10代でガールズヴォーカルグループに参加するようになりました。ビヨンセが在籍していたデスティニーズ・チャイルドの前身にあたるグループにも籍を置いていたようですが、キキはグループの一員としてではなく、ソロとして活動する道を選びました。

その後彼女は、シカゴR&Bの名プロデューサー、スティーヴ・ハフに見いだされ、彼がプロデュースするアヴァント(Avant)のデビューアルバムに参加することになりました。ルネ&アンジェラのカバー曲 ”My First Love” をアヴァントとデュエットしたのですが、これが大変素晴らしい出来ばえでした。そして2001年、キキはスティーヴ・ハフのプロデュースによる『Soul Sista』で、アルバムデビューを果たしました。

『Soul Sista』は、2000年代のR&Bらしい打ち込みスタイルのアルバムですが、キキ・ワイアットの豊かで伸びやかな歌声が十分に引き出されており、人間的な温かみを感じる作品です。収録曲は良曲が多いのに加えて、全体的なまとまりも良く、聴きやすいR&Bアルバムに仕上がっています。

それでは『Soul Sista』の収録曲を、いくつかご紹介していきましょう。まずはアルバムのオープニングナンバーの ”Used To Love” です。R&Bらしい打ち込みビートが印象的ですが、曲そのものはオーソドックスなソウルです。キキの歌声は、もともと素直なソプラノヴォイスですが、独特なビブラートをきかせるテクニックによって、個性的で魅力あるものになっています。ゴスペルで鍛えられた彼女の力強い歌は、新人らしからぬ安定感があって、頼もしさを感じます。

それから、アヴァントとのデュエット ”Nothing In This World” も、ソウルフルなミディアムナンバーで、とても素敵です。この二人は、声の相性がとても良いですね。マービン・ゲイ&タミー・テレルや、アレクサンダー・オニール&シェレールなどの名コンビにも肩を並べる、素晴らしいペアだと思います。

そして、このアルバムの注目曲といえば、パティ・ラベルのカバーの ”If Only You Knew” ではないでしょうか。キキはオリジナル曲のイメージをしっかり掴んで、丁寧に歌い上げています。高音のファルセットも美しく、とても19歳とは思えない堂々とした歌いっぷりに、感動しました。

2001年のおすすめR&Bアルバム、キキ・ワイアットの『Soul Sista』。
ぜひお聴きください。