オージェイズ最後のアルバム『The Last Word』
こんにちは。
ベテランヴォーカルグループ、オージェイズ(The O’Jays)のニューアルバム『The Last Word』が発売されました。15年ぶりの新作!と喜んでいたら、なんと彼らはこれをもって引退するということです。オージェイズが結成されたのは1958年だそうですから、活動歴は60年以上にも及びます。エディ・リヴァートとウォルター・ウィリアムズのツイン・リードを軸にした力強い歌声が持ち味のグループなので、当然、体力的にはきつくなっていることでしょう。引退は残念ですが、長きにわたって素晴らしい音楽を届けてくれたことに、感謝しています。
オージェイズの代表的なアルバムといえば、やっぱり1972年の『Back Stabbers』(邦題「裏切り者のテーマ」)になると思います。フィラデルフィアのシグマ・スタジオにて、ギャンブル&ハフのプロデュースのもとに作られたこの作品は、フィリー・ソウルを代表するアルバムといわれています。 “Love Train” や ”Back Stabbers”といったヒット曲が収録されており、人気の高い作品です。 2018年に「サタデー・ナイト・フィーバー」の40周年を記念して、70年代の名盤がたくさんリイシューされましたが、このアルバムもラインンナップされていました。私はこのアルバムの中身もさることながら、ジャケットが好きなんですよね。3人がこちらを向いているだけなんですが、すごくソウルっぽくてお洒落で、部屋に飾るといい感じなので、気に入っています。
さて、オージェイズの新作にして最後のアルバム 『The Last Word』を、さっそく聴いてみました。全体的に70年代のフィリー・ソウルを思わせる仕上りになっていて、オージェイズらしさがよく出ているなと思いました。オージェイズはその活動歴のなかで、ニュー・ジャック・スイングなど流行のサウンドにもチャレンジしてきましたが(それはそれで素晴らしかったですが)やっぱり、フィリー風のサウンドと彼らの歌声の組み合わせが一番しっくりくる、と思いました。制作に関わった顔ぶれを見ると、ベティ・ライトからブルーノ・マーズまで年代に幅があり、参加人数も多いのですが、アルバム・イメージのばらつきもなく、よくまとまっていると思いました。
アルバムのなかで最もおすすめの曲は”I Got You”です。これはマイケル・ブルームのカバーです。しかし “Love Train” のように明るくダンサブルな曲にアレンジされ、オージェイズのオリジナルとしか思えない曲に変身しているのが、見事でした。オージェイズの歌も、キャリア60年以上とは思えないほどはつらつとしていて、素晴らしかったです。それから、エディのシャウトがズシンとくる力強いソウル”Above The Law”も、よかったです。こういう伝統的なソウル・ナンバーは、時代が変わっても歌い継がれてほしいと思いました。
まさに「有終の美」といってもよいオージェイズのアルバム『The Last Word』。ぜひ聴いてみてください。