グラミー賞受賞!タイラー・ザ・クリエイター『IGOR』
こんにちは。先日のグラミー賞で最優秀ラップアルバム賞を受賞した、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler,The Creator)の『IGOR』。今回はこの作品について、お話ししたいと思います。
タイラー・ザ・クリエイターは1991年生まれの、カリフォルニア出身のアーティストです。ヒップホップグループ”OFWGKTA”(オッド・フューチャー)のリーダーとして、ラッパーやプロデューサーとして活躍してきました。2019年に発売された通算5枚目のアルバム『IGOR』が全米第1位を記録。グラミー賞の栄冠に輝きました。
私は普段ラップソングをあまり聴かないので、そちらの方面にくわしくありません。ラップソングはストリート系の音楽で、それに魅力を感じる若者を中心に人気があるもの、という昔からのイメージを持っていました。『IGOR』は、そんな私に衝撃を与えました。ラップアルバムでありながら、洗練されていて聴きやすく、心地よさすら感じる作品だったからです。
一番印象的だったのは、楽曲のコード進行がなめらかで、美しかったことです。ヒップホップといえば、ワンコードをループさせるイメージがありましたが、タイラーの作る音楽はとてもメロディアスなのです。そして重要なのは、メロディーの美しさの中に、ところどころ「とげ」があるということです。騒音のような音が飛び出してきてドキッとさせられるのですが、そこを過ぎると甘美な世界が広がっています。甘さと辛さのミックス加減が絶妙で、それゆえリスナーは夢中になって聴いてしまうのだろう、と思いました。
タイラーはラッパーですが、このアルバムでは歌も歌っています。”EARFQUAKE”ではファレル・ウィリアムズそっくりのファルセットを披露しています。歌もラップも曲によってさまざまな表情を見せてくれて、興味をそそられます。また、ソランジュなど人気シンガーをゲストに招いていますが、彼らの色をそれほど強く出さず、全体として「タイラーの音楽」ということで、よくまとまっているなと思いました。
それから、収録曲で話題になっているのが、山下達郎氏の”Fragile”をサンプリングした ”GONE,GONE/THANK YOU”です。タイラーが達郎ファンだと知って、とても嬉しかったです。私がタイラーの音楽に魅せられた理由が、なんとなくわかったような気がしました。
タイラー・ザ・クリエイターのアルバム『IGOR』。彼のファン層を拡大させた傑作です。ぜひ聴いてみてください。
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