良盤です!シーロー・グリーン『CeeLo Green Is Thomas Callaway』
こんにちは。
今回は、シーロー・グリーン(CeeLo Green)のニューアルバム『CeeLo Green Is Thomas Callaway』をご紹介します。
これは、彼のソロ作としては6作目にあたるアルバムです。(クリスマスアルバムを含む)。前作『Heart Blance』からは5年ぶりとなります。プロデューサーは、シンプルでストレートなロックが人気のグループ、ブラック・キーズのメンバーのダン・オーバックが務め、録音が行われたのは、カントリーミュージックの本場、ナッシュヴィル。そしてアルバムのタイトルには、シーローの本名である Thomas Callaway の文字が入っている…。これらのことから、今回のアルバムは、今までとは違うタイプの作品になっていることが予想されました。
そして実際に聴いてみたところ、その予想は当たっていました。今までのように、元気いっぱいに歌いまくるシーロー・グリーンの姿はそこにはなく、落ち着いた大人の雰囲気を持ったトーマス・キャラウェイの歌の世界が広がっていたのです。
このアルバムを一言で表すなら、「ノスタルジック」という言葉が当てはまると思います。60年代から70年代初期のころのソウルミュージックが見事に再現されているのです。一瞬カバー曲を演奏しているのかと思いましたが、新曲と知って驚きました。どの曲もメロディーは美しく、テンポは穏やかで親しみやすく、時代感覚にこだわった作りになっています。演奏も現代風な打ち込み音は排除し、ミュージシャンによる生の演奏にのせてシーローが歌うという、原点に立ち返ったスタイルになっています。ナッシュヴィルの腕利きミュージシャンによる生演奏が、シーローの歌を何倍も魅力的にしているように思えます。
このアルバムでのシーローは、今までとはちょっと違う表情を見せています。もともと彼はレトロな曲を得意としていました。2010年の『The Lady Killer』も、懐かしさを感じさせるソウルアルバムでしたが、明るくポップな内容だったため、シーローの歌も陽気で楽しく、勢いに乗っていました。しかし今度の新作は、もっと深く心に染み入る作風で、同じ懐かしいといっても、より郷愁を強く感じさせるものになっています。シーローもそれに合わせた歌い方をしており、これまでのように高音を強調した歌い方は封印し、ひとつひとつを丁寧に、繊細に歌っています。時折、彼のルーツであるゴスペルの影響もみられますが、高圧的なところはなく、人間的な温もりを感じさせながら、優しく寄り添うように歌い上げています。ひとりのシンガーで、これだけ幅広く表現できる人はそう滅多にいるものではなく、改めてシーロー・グリーンの才能の豊かさに感じ入りました。ニューアルバム 『CeeLo Green Is Thomas Callaway』 は、かねてからシーローの歌のファンが待ち望んでいた、本格的な歌もの作品といえるでしょう。
物事の移り変わるスピードが速く、人間関係も複雑で、ストレスの多い現代社会。ちょっと心が疲れてしまったときに、懐かしさを感じるソウルミュージックに癒されるというのも、良いのではないでしょうか。シーロー・グリーンの素晴らしい歌声が、その助けになると思います。