新旧クリスマスアルバムを聴く ティナーシェ&SWV
こんにちは。
2020年も、残り一ヶ月を切りました。なんとなく慌だたしい季節ですが、音楽ファンなら、この時期に聴きたくなるのがクリスマスアルバムです。R&B界では、毎年誰かしら、新作のクリスマスアルバムを発表します。今年は誰が出すのかな、と期待するのも、毎年の楽しみになっています。
2020年のシーズンは、ティナーシェ(Tinashe)のクリスマスアルバム『Comfort & Joy』が発売されました(デジタルのみ)。 ティナーシェ は、幼いころから恵まれた容姿をいかしてモデルなどをしていましたが、その後音楽活動を始め、2014年ににアルバム『Aquarius』で、メジャーデビューしたシンガーです。彼女が展開するのは、シンセポップにヘビーなトラップ系リズムを重ねた、現行R&Bの見本のようなサウンドです。2019年にはその世界をさらに深化させたアルバム『Songs for You』を発表し、勢いにのっています。
そんなティナーシェのクリスマスアルバムは、とても彼女らしい作品に仕上がっていました。定番のクリスマスソングがトラップサウンドにアレンジされているのですが、それほど違和感を感じさせないところが、おもしろかったです。スタンダードなクリスマスソングは、どんなアレンジを施されても、それなりにさまになるのだな、と思いつつ、2020年らしさを楽しむことができました。ティナーシェの歌も、心なしかいつもよりのびのびしているように感じられて、よかったです。
そして、私が毎年欠かさずに聴いている、大のお気に入りのクリスマスアルバムが、1997年に発売されたSWVの『A Special Christmas』です。これはR&Bクリスマスアルバムの傑作として有名なので、ご存じの方も多いかもしれません。名プロデューサー、マイケル・J・パウエルによる、生演奏を主体としたジャジーでゴージャスなサウンドと、ゴスペルの影響も垣間見える、しっかりとしたSWVの歌。もう鳥肌がたつほど、素晴らしいのです。
SWVが活躍した時代は、ニュージャックスイングやヒップホップソウルの全盛期だったため、彼女たちのオリジナルアルバムも、それに則した活動的なものになっていました。しかしこのクリスマスアルバムは、その路線から離れたオーソドックスでゆったりとした内容で、それがとても新鮮でした。彼女たちの歌の魅力を充分に引き出したという点では、オリジナルアルバムをしのぐ出来ばえと思われ、個人的に高く評価している作品です。何年経っても色あせず、どこで聴いても楽しめる、クリスマスの名盤『A Special Christmas』。ぜひ聴いてみてください。