弾き語りR&Bの傑作 アリシア・キーズ『Keys』
こんにちは!
今回は、アリシア・キーズのニューアルバム『Keys』をご紹介します。
『Keys』は通算8作目のスタジオアルバムです。前アルバム(2020年)のタイトルは名の『Alicia』で、今回は姓の『Keys』。彼女にとって ”自己をみつめるシリーズ”の後編ということになります。
『Keys』は、収録曲数が多く、2部構成になっているのが特徴です。前半は ”Originals”、後半は ”Unlocked” として、まとめられています。オリジナルに対して「ロックを解除する(Unlocked)」って、どういう意味?と思いました。が、よくわからなかったので、聴いてみた感じで、「”Originals” のリミックスバージョンが ”Unlocked” なのだろう」と受け止めました(双方の収録曲は、重複しているものが多いのです)。
”Originals” のパートは、アリシアの代名詞である生ピアノとヴォーカルを前面に出したR&Bになっています。メロディーは素直で聴きやすく、全体的にシンプルで、すっきりした印象です。
どこか懐かしさを感じさせる楽曲からは、アリシアがこれまでに、ソウルをはじめクラシックやジャズ、ヒップホップにネオソウル、そしてキャロル・キングやロバータ・フラックなどのピアノ弾き語りの先達から影響を受けてきたことが、よくわかります。キャリア20年を超えた彼女にとって、今この時期に原点を確認するという作業は、大切な事だったのかもしれませんね。
深く澄んだピアノの音色と、自然体でありながら優美なヴォーカルが織りなす、アリシア・キーズの ”Originals” の世界。ロイヤルブルーの神秘的なジャケット写真とともに、いつまでも記憶に残ることでしょう。
一方 ”Unlocked” のパートは、”Originals” に比べると、かなり現代のR&Bに近づいた内容になっています。打ち込みによる音数が増えて賑やかになり、躍動感も格段にアップしています。
”Originals” が一日の疲れを癒やしてくれるものとするならば、”Unlocked” は一日の始まりに「今日も頑張ろう!」と気合を注入してくれるもの、と言えそうです。
豪華ゲストも多数参加しています。カリード(Khalid)やラッキー・デイ(Lucky Daye)といった今をときめく若手と共演するアリシアからは、ベテランになった今もR&Bの第一線で活躍していることへの自負が感じられます。
そして、”Unlocked” のパートでもピアノの存在感は光っており、アリシアの音楽にピアノは欠かせないということが、よく理解できるのでした。
以上、アリシア・キーズの充実のニューアルバム『Keys』をご紹介しました。この作品でひとつの区切りをつけた彼女の、今後の活動にも注目していきたいと思います。
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