あみのR&B日記 「恵方巻き」
2月3日は節分です。節分とは立春の前日に行われる行事のことです。なぜ立春の前日に行事を行うかというと、旧暦では立春の頃を新年の始まりとしていたため、「新しい年が来る前に、行事をして悪いものを追い払っておこう。」と人々が考えたかららしいです。
節分の行事としては豆まきなどがありますが、いま最もポピュラーなのは ”恵方巻き” という名の太巻き寿司を食べることではないでしょうか。その年の恵方(縁起が良いとされる方角。2024年は東北東)に向かって太巻き寿司をまるまる一本食べると福が訪れるとされ、人気の節分イベントになっています。
私が子どもの頃は恵方巻きなどというものは存在せず、節分に食べるものといえば、豆まき用の煎り大豆でした。食べられる豆の数は年の数だけという決まりが子供心に悔しくて、「大人になったら年の数だけいっぱい豆を食べるんだ!」と強く思っていました。そして、ありがたいことに大量の豆が食べられる年齢になりました。しかし今は、大量の煎り大豆より少量のポリッピーのほうが嬉しい、と思っています。
節分に食べる恵方巻きのことを私が知ったのは、大阪に移住してからでした。「関西にはおもしろい風習があるなあ。」と驚いたものです。”福を巻き込む食べ物” だから太巻き寿司を食べるのだ、という解説を聞いて、なるほどねーと思ったりもしました。今では日本全国にこの風習は広まり、節分の日にスーパーの店先に大量の恵方巻きが並ぶのは、すっかりお馴染みの光景となりましたね。
数年前の節分に、私は自分で恵方巻きを作ってみようと思い立ちました。酢飯を作り、干しシイタケを戻して甘辛く煮つけ、かんぴょうも戻して煮て、厚焼き玉子を焼いて、キュウリを切って…、とこまごました作業を根気よく積み重ねました。そしていざ巻こうとすると、なんとこれが、まったく巻けないのです。おそらく欲張って具を詰め込みすぎたせいだと思いますが、頑張って巻こうとしてもパタンと折りたたんだサンドイッチみたいになってしまうのです。「ここまで苦労して準備してきて最後にこれか…。」私の心は折れました。そして決意したのです。「もう寿司は巻かない。」と。以来、節分にはスーパーの恵方巻きにお世話になっています。
ネットで調べてみると、恵方巻きの食べ方にはいくつかのルールがあるようです。恵方を向いて食べること以外にも、無言で食べるとか、目をつぶって食べるとか、笑ってから食べるとか。なかでも、切らずに食べることは重要視されているみたいです。切ることは「縁を切る」とか「福を逃す」ことにつながり、縁起が悪いからだそうです。しかし私は恵方巻きを切って食べます。なぜなら、そうしたほうが食べやすいからです。切っていない恵方巻きを「食べにくいわねえ。」とモヤモヤしながら食べるより、切った恵方巻きを「食べやすくて美味しいわあ。」とスッキリした気持ちで食べたほうが幸せになれるような気がするのですが、いかがでしょうか。
皆さんは節分に恵方巻きを食べますか?
それでは音楽をお届けしましょう。恵方巻きの具によく使われるシイタケやかんぴょうの含め煮は茶色いことから、ディアンジェロ(D’Angelo)の ”Brown Sugar” を選びました。この曲は彼のデビューアルバム『Brown Sugar』に収録されています。90年代R&Bを代表する名曲だと思いますので、ぜひ聴いてみてください。
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