祝復活! シック『It’s About Time』, チェンジ『Love 4 Love』

シック(Chic)とチェンジ(Change)。
この二つのグループは、70年代後半から80年代前半にかけて、
”N.Y.ファンク”とよばれるサウンドを発信し、大人気でした。
彼らの、ちょっとおしゃれなダンスミュージックは
私も大好きで、当時よく聴いていました。
懐かしい記憶のなかにあったこの二つのグループが、
なんと2018年秋という時期に、
揃ってニューアルバムを発表し復活するという、
信じられない出来事が起こりました。
驚くやら嬉しいやらで、
早速それぞれのニューアルバムを聴いてみました。

まず、シックの新作『It’s About Time』です。
こちらは、ダンスミュージックがぎっちりとつまった、
パーティーなどにも向きそうな一枚でした。
レディー・ガガやエルトン・ジョンなどゲストの数が多くて、
シックらしさがぼやけてしまったのは残念でしたが
ナイル・ロジャースのギターは元気いっぱいだし、
これはこれでいいかな、と思いました。

アルバムのなかでは”Til The World Falls”という曲が
”現代に受け継がれるシックサウンド”という
感じがして、よかったです。
それから”Sober”という曲。
こちらはナイル・ロジヤースがギターを弾き、
クレイグ・デヴィッドが歌い、テディ・ライリーが
ミックスしています。
それぞれの活躍時代が違いすぎて、頭が混乱しそうになりましたが、
実際に聴いてみると、テディのニュージャックとして
まとまっていました。
ニュージャックの威力ってすごい、と改めて思いました。
他にも、スムースジャズ風のインスト曲があったりして、
「現在のシック」をいろいろな方面から
楽しめる内容になっていました。

続いて、チェンジの新作『Love 4 Love』です。
こちらは、ダンサブルな曲もありましたが、
全体的に洗練されていて、余裕のある大人の音楽
という印象を受けました。
リードヴォーカルのタニア・ミシェル・スミスは、
レイラ・ハサウェイやメイサを思わせる
ソウルフルなシンガーです。
実力派をリードに据える、という
チェンジの伝統が守られていると思いました。
欲をいえば、以前のように男性シンガーも
フィーチャーしてほしかったですが、
それは次回に期待しましょう。

アルバムのなかで最も気に入った曲は
オープニングトラックの“Hit or Miss”です。
スムースでとても素敵な曲なので、
ぜひ聴いてみてください。
それから、アルバムの後半には
かつてのチェンジの曲のリミックスが収録されています。
ルーサー・ヴァンドロスなどの懐かしい歌声が聴けて、
よい構成だと思いました。

シックとチェンジ、それぞれ個性のある新作を
届けてくれて、嬉しかったです。
足かけ40年、R&Bファンを続けてきて
よかったな、と思いました。

Nile Rodgers, CHIC – Till The World Falls (Lyric Video)

Change – Hit Or Miss (Official Music Video)