あみのR&B日記 「水」

今年は残暑が長引いています。いったいいつまで熱中症の心配をしなければならないのか、と文句のひとつも言いたくなりますよね。

熱中症の予防として大事なのは水分補給ですが、水分ならなんでもよいわけではありません。カフェインや糖質を含まない麦茶・水・ミネラルウォーターがよいとされ、利尿作用があって体内の水分を排出してしまうアルコール・コーヒー・緑茶は水分補給に不向きとされています。

私が子どもの頃よく飲んでいたものは牛乳でした。母に「子どもには牛乳をたくさん飲ませて大きく丈夫に育てなければならない」という信念があったため、三度の食事時に水がわりに牛乳が出されたのです。おかげで私は体格のよい児童でした。夏場の暑い時期は冷たい麦茶も飲みましたが、味のない水はほとんど飲みませんでした。

そして今、私がよく飲んでいるものは水です。水は時と場所を選ばず気軽に飲めるし、どんな食べ物にも合うし、カフェインや糖質の心配もないし、飲んだあとは口やのどがスッキリするし、値段は安いしでいいことずくめ。小さい頃は味がないからと敬遠していた水ですが、今はその良い意味での個性の無さに魅力を感じているのです。都会の水はまずい、と言われたのは一昔前の話。お風呂上りに飲む、冷蔵庫でキンキンに冷やした大阪の水道の水は格別です。

さて、先日の話です。私は長距離バスに乗って四国に遊びに出かけました。一日遊んで、帰りのバスに乗ろうというとき、持っていたお茶のペットボトルが空になりました。まあでも水筒の中に水が入っているし、飲み物は買わなくても大丈夫だろうと、そのままバスに乗り込んだのです。

大阪に向けて出発したバスは、いくらも走らないうちにノロノロ運転になり、遂には止まってしまいました。淡路島で発生した事故による渋滞に巻き込まれたとのことでした。私は特に急いでいるわけではなかったので、仕方ないなー、水でも飲んでゆっくりしよう、と水筒を取り出しました。そのとき、水筒の中にたっぷり入っていると思っていた水が、実は半分ほどもないことに気がつきました。私は知らないうちに水筒の水を飲んでしまっていたのです!これから何時間かかるかわからない道中を、これだけの水で過ごさなければならないと思うと、一気に緊張感が高まりました。折しも車内には西陽が射し込み暑くなり、のどが渇いてきましたが、なるべく水を減らさないように、ギリギリまで飲むのを我慢しました。そのうちお腹がすいてきました。おやつとして歌舞伎揚げとポテコを持っていましたが、こんな塩辛いものを食べては水がいくらあっても足りないと思うと食べることもできず、私は車内で飢えと渇きに耐える人になりました。

ようやく淡路島の渋滞を抜けてホッとしたのも束の間、今度は阪神高速の渋滞にはまりました。絶望的な気分になりましたが、どうすることもできません。私は飲むことや食べることを忘れようと、必死にスマホゲームに打ち込みました。

そしてバスは予定より1時間ほど遅れて大阪に到着しました。難波のOCATのバスセンターに降り立ち、目の前にずらっと並んだ自動販売機を見たときに私がどれだけ安堵したか、おわかりいただけるでしょうか。これでなんぼでも飲み物が買える、と喜びに包まれた私は、残りわずかになっていた水筒の水を一気に飲み干したのでした。

それでは音楽にまいりましょう。ブレイクウォーター(Breakwater)の ‟Work It Out‟ をお届けします。この曲は78年のアルバム『Breakwater』に収録されています。

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