R&Bソウルの名品 リーラ・ジェイムス『See Me』
こんにちは!
今回はリーラ・ジェイムス(Leela James)のニューアルバム『See Me』をご紹介します。
リーラ・ジェイムスは、個性的なハスキー・ヴォイスで熱くソウルを歌い上げる、本格派のシンガーです。アルバム『A Change Is Gonna Come』でデビューしたのが2005年。それ以来、伝統的なソウルと現代的なR&Bとの接点を探りながらアルバムリリースを重ね、そのどれもが良作との評価を得てきました。
私も彼女のアルバムを好んで聴いてきましたが、今回の『See Me』も素晴らしい出来ばえで、とても気に入りました。曲はどれも高品質なうえ、収録曲のタイプに偏りがなく、流れがよくて聴きやすいところが良かったです。リーラのソウルフルな歌いまわしも、相変わらずのかっこよさでした。
それでは、おすすめの曲をいくつかご紹介してまいりましょう。
アルバムの序盤は、70年代ソウルを現代流にアレンジしたような曲が続きます。”Break My Soul” は、リズムは淡々としてクールな印象ですが、リーラが歌い上げるメロディーがせつなげで、胸に響きます。途中で、Mumu Freshによるラップが入りますが、自然に曲に溶け込んでいて違和感はありません。昔ながらのソウルが持つあたたかさと、現代のR&Bのクールな感覚がうまくミックスされた名曲です。”Complicateⅾ” は、先行シングルとして発表された曲。少し甘めの、ゆったりしたミディアムナンバーで、リーラのエモーショナルな歌の世界に引き込まれます。この曲は、アンソニー・ハミルトン(Anthony Hamilton)とデュエットしたリミックスバージョンも素晴らしいので、よかったらそちらのほうも聴いてみてください。
アルバムの中盤では、リーラ・ジェイムスが得意とするオーソドックスでストレートなソウルの数々が楽しめます。”I Want You” や ”Put It On Me” など、生演奏によるブルージーな楽曲は、リーラの深みのあるハスキー・ヴォイスと相性抜群。リアルなソウルがもたらす充足感を味わえます。アルバムのタイトル曲 ”See Me” は、穏やかな、心が揺さぶられるバラードです。社会の中で置き去りにされたと感じる人々へ想いを寄せるメッセージソングで、コロナ禍の困難な状況において、強く印象に残る一曲です。
アルバムのラストを飾るのは、軽快なダンスナンバーの ”Rise N Shine” です。最後が明るい曲だと、聴いているほうもさっぱりした気分で終われるので、良いですね。最近のベテランR&Bシンガーのアルバムでは、このようなブギーナンバーがよく取り入れられています。演るほうも聴くほうも、元気を出すにはディスコが一番、といったところでしょうか。
以上、リーラ・ジェイムスのニューアルバム『See Me』をご紹介しました。彼女の歌声の性質上、作品はやや辛口な印象を与えがちです。しかし本アルバムでは、優しさ・甘さも絶妙なバランスで表現されており、アルバムとしての完成度は非常に高いと感じました。ぜひ、聴いてみてください。
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