久しぶりのゴスペル盤 ケリー・プライス『GRACE』
こんにちは!
今回は、ケリー・プライス(kelly Price)の新作EP『GRACE』をご紹介します。
ケリー・プライスはニューヨークの出身。1998年に『Soul of a Woman』でアルバムデビューを飾ると、収録曲の”Friend of Mine”がいきなりR&Bチャートの1位に輝くという快挙を成し遂げました。ゴスペルで鍛えられた迫力満点のヴォーカルは、当時の女性R&Bシンガーのなかでも、群を抜いて本格的なものでした。
彼女はその後も、レーベルを移籍しながら精力的にアルバムを発表してきました。直近のアルバムは、2014年の『Sing Pray Love,Vol.1 Sing』です。これがとても良い作品だったのでVol.2への期待も高まりましたが、それは叶わず、最近ではシングルがデジタルリリースされるのみ、という状況が続いていました。
そしてようやく、今回『GRACE』の発売となりました。残念ながらフルアルバムではなく、6曲入りのデジタルEP(ミニアルバム)という形ですが、新曲がまとめて聴ける作品集が出たことに、ファンとして喜びを感じました。
ケリー・プライスは、2006年に『This Is Who I Am』というゴスペルアルバムを出しており、『GRACE』はそれに続く2作目のゴスペル作品となります。いわゆる”アーバンゴスペル”で、ゴスペルとはいえ世俗的な要素がふんだんに盛り込まれているので、気軽にR&Bを楽しむ感覚で、ケリーの素晴らしい歌声に触れることができます。
『GRACE』は、全6曲(うち1曲はインタールードなので実質5曲)とコンパクトサイズながら、収録曲のバランスが良いです。勢いのあるダンスナンバー ”Dance Party”、しっとりしたメロウ曲 ”Grace”、名曲のカバー”I Want To Thank You”、正統派のゴスペル ”Faith That Conquers” など、安定した楽曲でまとめられています。ケリーの今までのアルバムと骨格はほぼ同じで、限られた曲数のなかでも、彼女らしさが充分に伝わってくる内容です。
そして、私が心を動かされた曲が ”What I Need” です。これは、シングルとして既にリリースされていたスケールの大きなバラードですが、『GRACE』収録版は、ヴォーカルのパートをラッパーと分担しているのです。豊かな歌声が魅力のケリーが、このような曲をアルバムに入れるなんて…と、最初は驚きました。しかしこのやり方によって、歌が重くなりすぎず、作品全体の流れがよくなっていることに気がつきました。思い切ったリミックスが功を奏する場合もあるのだなあ、と思いました。
ミニサイズながら優れた歌が楽しめる、ケリー・プライスの新作『GRACE』。
ぜひ聴いてみてください。
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