没後10年 マイケル・ジャクソン『This Is It』を観る
こんにちは。
キング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソ(Michael Jackson)が亡くなって、今年で10年になります。この間に、未発表曲を集めたアルバムが発売されたり、マイケル自身がホログラムで復活してライブを行ったりと、いろいろなことがありました。そんな彼の”置き土産”のなかで最も素晴らしい作品だと私が思うのが、映画『This Is It』です。
これは2009年7月にロンドンで行われる予定だったコンサートのリハーサル映像や、関係者へのインタビューなどをまとめたドキュメンタリー映画です。いわば2009年ロンドン公演のメイキング・ムービーです。しかし、皆さんご存じのとおり、マイケルはロンドン入りする直前に急死してしまったため、念入りに準備されたロンドン公演は、残念ながら中止となってしまいました。
『This Is It』のすごいところは、ドキュメンタリーでありながら、普通にライブ映画として楽しめるほど、音楽的にクオリティが高いところです。もちろんリハーサルなので、マイケルは確認のために時々歌や踊りを止めたりはします。でも、観客の歓声がない分、彼の歌声がダイレクトに届き、「リアルなマイケル」を感じることができて、ファンにはたまらない映像なのです。
この映画を観ていると、マイケルという人は、プロのアーティストとして妥協しない人だったということがわかります。”Wanna Be Startin’ Somethin’”の演奏後に、ベース担当に「もっとファンキーに!」とベースパートを歌って指導する場面があります。私が聴いても特に問題はないように感じたのですが、マイケルの感性は常人と違って、とても敏感なのだと思いました。そんな彼を尊敬し、研鑽を積むミュージシャンたちの姿が印象的でした。それから、マイケルは自分で曲を始める合図(キュー)を出すことにこだわっていました。つまり、ステージをコントロールするのは自分であると、はっきりと伝えていたのです。長いキャリアと実績を誇る大物にになっても、ステージに手を抜いたり、人任せにしたりしない責任感の強さに感心しました。
映画のなかで印象に残った曲を挙げてみます。まずは”Smooth Criminal”です。古き良きシカゴのナイトクラブを舞台にしたショートフィルムを組み込んで、凝った演出になっています。マイケルといえばショートフィルムですから、ファンはこういう演出が嬉しいんですよね。マイケルのダンスも50歳とは思えないくらいキレがあって、かっこよかったです。
そして、ジュディス・ヒル(Judith Hill)とデュエットした”I Just Can’t Stop Loving You”が、とても良かったです。ジュディスは緊張していたのか、ぎこちないところもありましたが、マイケルが優しくリードして、素敵な愛のデュエットになっていました。ウォーミングアップのつもりで抑え気味に歌いはじめたのに、つい気分がのって喉を使いすぎたことを反省するマイケル。でも、どこか満足そうな表情にもみえました。
映画の最後のほうで、マイケルも含めてスタッフ一同が手をつないで輪になり、「公演を成功させよう!」と気持ちをひとつにする感動的な場面があります。残念ながら、彼らの思いはかなわなかったわけですが、このリハーサルを通じて、スタッフひとりひとりが得たものは大きかったのではないかと思いました。
マイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画 『This Is It』。 没後10年のこの機会に、ぜひご覧になってみてください。
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