若手実力派ケラーニの新作『While We Wait』
こんにちは。
いま、R&B界で注目されている若手女性シンガーといえば、ケラーニ(Kehlani)でしょう。彼女は2015年に、ミックステープ『You Should Be Here』を配信でリリースしました。これが高く評価されて、CDになっていないにもかかわらず、グラミー賞にノミネートされるという快挙を成し遂げました。そして2017年、満を持してデビュー・アルバム『Sweetsexysavage』を発表。R&B界での彼女の存在感は確かなものになりました。
『Sweetsexysavage』のジャケットは、ケラーニが上半身にびっしりといれたタトゥーをさらけ出すという、衝撃的なものでした。アルバムの内容も、ジャケットのように衝撃が強かったらどうしよう、と恐る恐る聴いてみましたが、特にそういうことはありませんでした。むしろ、90年代R&Bの影響を感じさせる曲が並んでいて、親しみやすい好盤という印象を受けました。そして、ケラーニの歌声を聴いて「しっかりと歌える、有望な新人が出てきたな。」と思いました。少女らしいあどけなさの残る声質ながら、よく声が出ており、歌を聴くのが好きなR&Bファンの期待に応えてくれるシンガ ーだと思いました。
そんなケラーニの最新作『While We Wait』が、先日発売されました。この作品は”ミックステープ”であって、セカンド・アルバムではありません。ここで私は思うのです、「ミックステープって、なんぞや?」と。最初に思いつくのは、DJが様々な曲をつないで作ったテープのことですが、この場合にはあてはまりません。アルバムというには規模の小さい作品集か?というと、そういうのはEPといわれたりします。販売が配信のみのものかといえば、ケラーニの今作は、日本ではCDに、海外ではCDRやLPレコードになって売られています。それじゃあマスターテープってこと?と、だんだん頭の中がごちゃごちゃしてきます。いつの日か、この疑問がスッキリ解決することを願っています。
話をケラーニに戻しましょう。今回の『While We Wait』は前作と比べると、シンプルで、大人っぽくなった印象を受けます。バックトラックの音数も絞られていて、ケラーニの歌がより近くに感じられる内容になっています。音のイメージとしては、ネオ・ソウルからアンビエントにつながるR&Bで、一曲目の”Footsteps” では、その道の第一人者であるミュージック・ソウルチャイルド(Musiq Soulchild)とデュエットしています。ケラーニの歌は、柔らかさがありながら、芯の強さも感じさせるもので、細かい部分の表現力も素晴しく、「やっぱりこの人、歌がうまいなあ。」と感心しました。今のR&Bの主流である、やや重めの楽曲が並びますが、そのなかで”Morning Glory”は90年代初期のようなグルーヴが楽しめて、よかったです。
全部聴いても30分そこそこという小ぶりなサイズながら、しっかりと印象に残るケラーニの新作『While We Wait』。ぜひ聴いてみてください。
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