あみのR&B日記 「香り」
普段使っている日用消耗品には、様々な ”よい香り” がつけられています。近年、香りの種類も増えました。商品を選ぶ際には香りを必ずチェックする、という方も多いことと思います。
私もよい香りは大好きです。小学生の頃は、香りつきの鉛筆や消しゴムは宝物でした。たいていそういった商品は書きにくかったり消しにくかったりと、文房具としての機能がイマイチであることは知っていました。しかし ”よい香りがする” というだけでそれらはVIP扱いとなり、きれいな宝物箱に大事にしまわれていたのです。
その後おしゃれに関心を持つ年頃になってくると、香水に興味を持ち始めました。当時、海外旅行のおみやげとして免税店の香水は人気があり、私もたまにいただいたりしました。ニナリッチのレールデュタンやグレのカボティーヌなど、女性らしく優しい香りが好まれたようです。一世を風靡した田中康夫の青春小説『なんとなく、クリスタル』で主人公がつけていたディオールのディオリッシモも話題になりましたっけ。
そんなある日、私はシャネルの香水ココをプレゼントされました。ココはそれまで私が親しんでいたものよりも主張の強い香りで、私はなんだか大人になったようでうれしく、どこへ行くにもつけていきました。当然職場にもプシュプシュつけていったら、あるとき先輩男性社員から「おまえ、臭いぞ。」とめちゃくちゃストレートに注意されました。香水にはマナーというものがあり、それは守らなければならないことを、そのとき理解したのでした。
年齢を重ねるにつれ、私の香りの好みは、花の甘い香りから柑橘系のさっぱりした香りへと変わっていきました。そして今。散歩の途中で漂ってくるキンモクセイやクチナシなど自然の花の香りは大好きなのですが、人工的に作られた香りが以前ほど得意ではなくなってしまいました。なので、日用消耗品や化粧品などは、なるべく無香料タイプのものを選んでいます。一応、「出かけるときに使うかも」と思ってコストコで買ったクロエの香水を持ってはいますが、ほとんど使うことはなく、引き出しの奥にしまったままになっています。
さて、つい先日の話です。私は自分の体から何かが匂っていることに気がつきました。あちこち嗅ぎまわってみると、セーターの袖口から強烈な魚の匂いがします。どうやら前日にサバの水煮缶を使って料理をした際、缶汁がセーターの袖口にかかってしまったようでした。これはたまらん、と私は急いでセーターを脱ぎ、エマールで洗濯をしました。乾いたセーターの袖口に鼻を当てると、なんとまだサバの匂いがするではありませんか！（洗濯前より薄くはなっていましたが） サバのしぶとさに驚きつつ、今度はファブリーズを吹きかけてみました。すると、一瞬匂いは消えるものの、すぐにまたサバが匂いを放ってくるのです。そのとき、パッとひらめきました。引き出しの奥のクロエの香水、あれをかけてみたらどうだろう？かくしてサバ VS クロエの対決となり、私はセーターの袖口めがけて香水を一吹きしました。すると、あたりは濃密な花の香りに包まれ、サバの匂いはあとかたもなく消え去ってしまったのです！そして時間がたっても、二度とサバが匂うことはありませんでした。クロエの勝利！さすがは天下のクロエ・オー・ド・パルファム！ところが、今度は部屋中に漂う濃厚な甘い香りが気になりだしました。「しかたない、時間がたてばこの匂いも消えるだろう…」私はあきらめたのでした。
ということで今回お届けする音楽は、自身がプロデュースした香水も成功を収めたビヨンセ（Beyonce）の ”CUFF IT” です。2022年のアルバム『RENAISSANCE』に収録されているキャッチーなダンスナンバーです。
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