オリジナル曲ラスト盤 ブライアン・マックナイト『Exodus』



こんにちは!
今回は2020年に発表された、ブライアン・マックナイト(Brian McKnight)のアルバム『Exodus』をご紹介します。

『Exodus』は、前作『Genesis』からは3年ぶり、スタジオ録音としては16作目のアルバムになります。そして「オリジナルの新曲から成る最後のアルバム」だそうで、これで一区切り、ということになりそうです。

さっそく聴いてみましたが、ベテランらしい安定感があって、聴いていてリラックスできる良い作品だと思いました。ひとつひとつの曲はしっかり出来ていますし、ブライアンのハスキーでせつない歌声も、相変わらず素晴らしいです。

R&Bアルバムとして出す以上、昨今の流行であるトラップサウンドは避けては通れない問題ですが、そのあたりも自然に消化できていると思います。前作では流行の音に対して多少硬さもみられましたが、今回は少し余裕も感じられ、さすがの対応力、と感心しました。

アルバムの中盤以降は、ピアノやエレピの音色が印象的な、情緒豊かな曲が多くなっていきます。ブライアンはギターも弾きますが、ピアノの弾き語りをしている時が、いきいきしていて素敵なんですよね。今作収録の”Nobody”は、そんな彼の魅力にあふれた美しいピアノバラードです。アルバムを代表する、おすすめの一曲です。

ブライアン・マックナイトといえばスローバラード。これが共通認識になっているかと思います。しかし、彼は以前からアルバムではロック寄りの曲もやっていて、元気なところも見せているのです。今作でも”Bad”というアップナンバーが光っています。重厚感のあるバンドサウンドで、こういう曲は時代が変わっても古くならずに愉しめるのだろうな、と思いました。

1992年のデビューアルバム『Brian McKnight』(名盤!)以来、変化の激しいR&Bシーンで、自分らしさを見失わずに第一線に立ち続けたブライアン・マックナイト。まさに尊敬できるアーティストです。オリジナル曲のラスト盤と言われると寂しいですが、今までお疲れ様でした、とねぎらう気持ちも湧いてきました。アルバムの発表を完全に終了するわけではなさそうなので、今後はカバーアルバムなどを届けてくれるかもしれません。そんな未来を暗示するかのように『Exodus』はスティングの”Fragile”のカバーで幕を閉じます。これからも、彼の音楽活動を応援していきたいと思います。


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