傑作です!ジョン・レジェンド『Bigger Love』
こんにちは。
ジョン・レジェンド(John Legend)のニューアルバム『Bigger Love』が発売されました。今回は、この作品をご紹介します。
『Bigger Love』 は、ジョンの7作目のアルバムになります。前作はクリスマスアルバムでしたから、純粋なオリジナルアルバムとしては2016年の『Darkness and Light』以来4年ぶりということになります。
『Darkness and Light』と比較してみると『Darkness and Light』が落ち着いた大人のヴォーカルアルバムであったのに対し、 『Bigger Love』 はR&B色が強く、明るく元気な作風になっています。これは両先品のアルバムジャケットを比べても、その違いがわかります。 『Darkness and Light』はモノトーンで影の入ったデザインでしたが、『Bigger Love』はカラフルな色使いで、微笑むジョンの顔が大きく描かれています。だいぶイメージが違いますよね。
『Bigger Love』 のエグゼクティブ・プロデューサーは、ラファエル・サディーク(Raphael Saadiq)です。彼は、古き良き時代のソウルと現代のR&Bをつなぐのがとてもうまい人です。そのあたりがよく表れているのが、オープニングナンバーの”Ooh Laa”です。
懐かしのドゥーワップのリズムに現代のトラップサウンドの重低音がミックスされ、そのすべてを包み込むようにゆったりとジョンが歌い上げています。とてもバランス感覚に優れた曲で、今の時代だからこそ楽しめるサウンドだと思います。
2曲目の”Actions”も懐かしさがあふれています。デヴィッド・マッカラムの”The Edge”をサンプリングしているのですが、同曲をサンプリングしたヒップホップ・クラシックの”The Next Episodo”へのオマージュも込められています。どこかで耳にしたことのあるトラックに、美しいメロディーがつけられて誕生した、この曲。ジョンのせつないヴォーカルも胸を打つ、おすすめの一曲です。
前半2曲が、わりと骨太な印象なのに対して、3曲目の”I Do”は軽やかなダンスナンバーです。ちょっとインコグニート風の清涼感も漂って、ジョン・レジェンドにしては珍しいタイプの楽曲ではないでしょうか。曲に合わせるようにしなやかなジョンの歌も聴きどころです。続く4曲目の”One Life”も同傾向の曲で、アルバムの中でもホッと一息つける部分です。
中盤以降は、アフリカン&カリビアンな”Bigger Love”や、人気女性R&Bシンガーのジェネイ・アイコ(Jhene Aiko)を迎えた”U More,I More”など、現行R&Bの流行を押さえた曲が続きます。
”Bigger Love” のミュージック・ビデオは、世界中のファンから集められた動画で作られたことも、話題になりました。
そして後半は、ジョンが得意とするバラード群で締めくくりとなります。”Conversations ㏌ the Dark”は、アコースティックギターの前奏が印象的なバラード。シンプルなアレンジで、メロディーの良さが際立ちます。”Remember Us”は、アル・グリーンのような心揺さぶられるソウルバラードで、私がとても気に入っている曲です。聴いていると涙が出てきそうになります。エンディングの”Never Break”はジョンの代名詞といってもよい、スケールの大きなピアノ・バラードです。感動のうちにアルバムの幕が閉じられます。
ジョン・レジェンドの新作『Bigger Love』は、様々なタイプのR&Bが楽しめるアルバムです。一曲一曲は個性的ですが、アルバム全体に散りばめられたソウルのエッセンスが効いて、疲れを感じさせず、最後まで飽きずに聴ける作品です。
優しさのなかに芯の強さを感じるジョンのヴォーカルとピアノはとても魅力的で、このアルバムで充分に堪能できます。
ぜひ、聴いてみてください。
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