あみのR&B日記 「イントロ」



私は子どもの頃、家族と一緒にテレビのクイズ番組をよく見ていました。『クイズダービー』や、『ベルトクイズQ&Q』や、『タイムショック』や、『パネルクイズアタック25』などなど。

家族がそれぞれ正解を考え、ワーワー言いながら見ていたのですが、そのなかで私の正解率が家族の誰よりも高い番組がありました。それは『ドレミファドン!』という音楽クイズ番組でした。

『ドレミファドン!』は、曲のイントロ(序奏)を流して曲名を答えさせる、イントロクイズの番組でした。曲の始まりのほんの数秒しか流さない超難問もありましたが、私はたまにそのような超難問に正解することがあり、そんな時は誇らしい気持ちになったものでした。

私は音楽を聴く時、イントロから熱心に聴くタイプでしたが、今の若い人達にこういうタイプは少ないそうです。ある人が言っていました。「今時の若い世代は ”イントロが待てない” から、最近はイントロを省略していきなり始まる曲が増えた。」と。私はこれを聞いて「イントロの短い時間すらも待ってはくれないのか…」と驚きました。

私の子ども時代に比べて、格段に便利になった今の社会で生活する若者たちは、”効率を重視する”という特徴があるそうです。長いものや遅いものは敬遠され、短くて速いものに人気が集まるのだとか。音楽業界もこの傾向に敏感に反応したため、イントロが存亡の危機を迎える事態になってしまったのでしょう。

私も、長すぎるイントロは退屈するので苦手です。でも適度な長さのイントロは、聴き手の曲に対する期待やワクワク感を高めるという重要な働きをしているように感じます。音楽に限らず、何事も導入の部分は大事だと思うのですが、いかがでしょうか。

ということで今回は、「私のお気に入りイントロベスト3」のなかから、パトリース・ラッシェン(Patrice Rushen)の ”Remind Me” をお届けします。メロウ&スムースかつグルーヴィーなこの曲は、イントロからお洒落な雰囲気が漂います。バックに流れる「ピラルラピラルラ」という音色がきらめきと透明感をもたらし、イントロを聴くだけで気分が高まります。もちろん、パトリースのヴォーカルが入る曲のメイン部分が素晴らしいことは言うまでもありません。後のR&B/ヒップホップアーティストに幾度もサンプリングされた名曲です。

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